下面是生肉原文,可以不看
汗を吸った畳独特の鼻を刺すような酸っぱい匂いと備品倉庫の埃っぽい匂いのダブルパンチで気分は最悪だった。
じゃあ何故部屋を出ていかないのかというと動けないように縛られているからだ。
「ぐっ…んんっぐ…」
匂いも最悪なのだが、この猿轡っていうのかな?口に噛まされている帯の方が苦しい。
頬に厳しく食い込んで責めてきているのももちろんなのだが、この帯は私が長年使いこんできた帯だ。
その帯をこんな使い方をされていることにも激しく腹が立つ。
「がっっ…むぐぅぅ…」
振りほどこうと顔を揺するが緩むどころかよりいっそう顔の責めがきつくなった気がした。
思い返せばあの時に少しでもおかしいと思えば今の状況は防げたと思い30分前の自分を呪いたくなる。
私の名前は北野里奈。県立高校に通う三年生で空手部主将を務めている。
小学生から空手一筋で、去年は全国大会にも出場し二年生で唯一ベスト8まで駒を進めた。
今年こそ全国一になるためにと毎日稽古をしてきた。
出場するためにはまず県大会を勝ち抜き、県代表になる必要がある。
県代表は二人選出されることになっている。
私の実力は県内でも突出しており、県の代表は私と準優勝の誰かになるだろうと誰も疑っていなかった。
県大会は午前中は予選、午後からは本選というプログラムで進められる。
午前中の予選は危なげなく突破し、午後からの本選に向けて体のストレッチをしていた。
「北野さん、去年の優勝者に話しておきたいことがあるみたいなので大会事務局の人が地下の備品倉庫に来てほしいそうです。」
私に白帯の女の子が声をかけてきた。
初めて見る顔だったが、空手着の胸の高校名が今年の大会運営の高校だったので私は素直にその言葉を受け取った。
「わかったわ、わざわざありがとう。それと備品倉庫ってどこにあるの?」
この会場を使って三年目だったが地下に備品倉庫があったなど初耳だった。
大会運営に携わらなければ知らないこともあるんだろうとその時は軽く流してしまった。
「私も一緒に行くので案内しますね。」
親切心で言ってくれたんだろうと思ったが、これは確実に連れてくるために言った言葉だったのだと後になって思う。
地下へ向かう階段は試合会場や控え室とは真逆の位置にあり、用事がない限りそこへは立ち入らないだろうという場所にあった。
不幸だったのは向かっている最中に部員に遭遇しなかったことだ。
ここで会っていればまだこの先の結果を防げていたとは思う。
地下への階段を降りて、さらに奥へと向かう。
「こちらです。」
白帯の女の子が足を止めて扉の横に立った。
扉には確かに備品倉庫と書かれていた。
「失礼しまーす。」
扉を開けて目に入ってきたのは壁に立てかけられたいくつものパイプ椅子や組み立て式の机、古くなって使われなくなったであろう色あせた数枚の畳など、ここが備品倉庫で間違いないのはわかった。
だが想像していたものとは違い、事務局の人間はおろか、この部屋が長年使われていないであろうことは部屋に充満する埃の匂いでわかった。
「ねえ、本当にここであってる…」
白帯の女の子に疑問を投げかけようとしたが不可能だった。
彼女が背後から私の首を絞めてきたのだ。
「ぐっ…な…にする…の…」
腕を入れて抵抗しようと思ったが、それよりも早く左右の物陰に隠れていた他の空手着の生徒により腕を抑えつけられてしまう。
全国大会に出場する程の実力の私だがそれはあくまで空手での話し。
不意を突かれた上での多勢に無勢、単純な腕力勝負では結果は明らかだった。
私はそのまま備品倉庫内の畳の上に引きずり落とされてしまう。
受身も取れないまま落ちたので痛みで抵抗していた力が一瞬無くなる。
その隙を突かれて私の両腕は背中側に回されてしまう。
手首に何かが巻きつかれていく感触があり、まずいと感じた私は必死に抵抗するが抑えつけている腕からは抜け出せない。
ならば足でと思ったが、先ほどの白帯の女の子が私の足を挟むように座り込んでおりどんなに力を入れても女の子を持ち上げることが出来ない。。
そうしているうちに腕の拘束を終えたのか、抑えつけていた二人は私から離れたのだが代わりに両手首は密着し離すことが出来なくなっていた。
離れた二人は私の足に回りこみ、白帯の女の子の位置を足首から膝下の位置にさせると二人がかりで私の足首を縛ってきた。
その間に白帯の女の子の手は私の両手首を抑えつけており、抵抗らしい抵抗も出来ない。
そこまでしてようやく三人は私を座らせて私の前に立った。
白帯の女の子には見覚えはやはりなかったが、他の二人には見覚えがあった。
私の同学年で今年の大会運営の高校の主将と副主将だった。
「北野さんには悪いけど、大会が終わるまでここにいてもらうわ。あなたがいると私たち二人で全国大会に行けなくなるからね。」
この二人に見覚えがあるのはその実力の高さからだった。
県内では私に敵う実力者はおらず、次に実力が高いのはこの二人だ。
実力があるとはいえ、私の敵ではなく、県代表の残る一つの椅子は彼女たちで争わなくてはいけなかった。
親友通しの二人が最後の全国大会に一緒に出るために今回の犯行に至ったのだと私は悟った。
「こんなことしてただで済むと思ってるの!」
「うるさい口ね。そんな口にはやっぱりあれが必要みたいね。」
同学年の主将は空手着の懐からハンカチを取り出して私に近づいてきた。
顔の前まで屈むと、そのハンカチを私の口にねじ込んできた。
「ぐっっ…むぐぅぅ…」
予期していないことだったのでハンカチは私の口内に全てすんなりと入れられてしまった。
舌で吐き出そうとしたが主将はそれを読んでいたのか、口を覆うように手を覆い被せてきたのでハンカチは口外に出ていってくれない。
副主将も私に近づいてきて私の腰に巻いていた黒帯を解いた。
その黒帯をあろうことか口内のハンカチを出さないようにする蓋代わりに私の口に噛ませてきた。
「さすが北野さんの黒帯。私たちの帯とは違って柔らかくて巻きやすいわ。」
長年使ってきた私の黒帯は汗をたっぷり吸い込み、他人のものより柔らかいと部内でも評判の目に見える努力の証だった。
その努力の証を踏みにじり皮肉を込めて使用した副主将を私は睨みつけた。
「何その目。気に入らないわね。」
癇に障った副主将は新しく縄を持ち背後に回ってきた。
その縄で空手着の上から私の胸を挟み込むように縄を巻き付けてくる。
ただでさえ動きづらかった体がさらに窮屈になり動きを制限される。
「意外と胸大きいのね知らなかったわ。」
空手着越しではわからないものだが、今は胸を挟み込むように縄を走らされている。
空手着の薄い布が胸に張り付くように縛られているのでどうしても胸の形が強調されてしまう。
羞恥心が込み上げてきて不自由な体ごと胸を隠すように体を捻る。
その間に主将は私の膝に縄をかけて、さらに足の縛めを強化されてしまった。
「全国経験者の北野さんにはこれだけじゃ物足りないわよね?」
副主将はニヤリと笑いながら座っていた私を横から押し倒した。
「むううぅぅう!」
されるがままに倒されてうつ伏せにされてしまった私の足を副主将は新たに縄を通していく。
通した縄を頭の方に引っ張られ、足を強制的に曲げる形を取らされる。
その状態で通した縄を私の顔に巻かれている帯に引っ掛けた。
「ぐむううぅっぐ!!」
半ば強制的に顔を後ろに反らされる形にされ、頬の食い込みがよりいっそうきつくなり呻き声を上げるのもつらくなる。
さすが全国経験者は柔軟性もピカイチね。」
副主将は私の足首の縄と顔の帯を連結させるような形で縄を繋ぎ動けないように私を固定した。
顔と足どちらを動かしても顔に巻かれた帯が頬を厳しく責めてくるため、少しでも負荷を減らすために顔をそらし続けるしか私に選択肢はなかった。
じゃあ私たちは午後の本選に向けて体を動かしてくるわ。こんな所で寝転がってる北野さんと違って私たち暇じゃないから。」
「じゃあね北野さん。気が向いたら大会が終わってから解きにきてあげるわ。」
「むぐぅううぅう!!」
去り際に主将は帯と足首を繋ぐ縄をわざと引っ張って私の反応を楽しんで出て行った。
扉が閉まり鍵のかかる音がした。
早く解かないと本選が始まってしまう。
誰も助けてくれない孤独の戦いが始まった。